waniwaniの雑記帳

自作PC/就活論/労働問題/大学生活/社会問題 などについて書きます

本を売るためには

本にしても何にしてもその商品の持つ「コンテンツ力」というものがそれぞれにある。それはブランド力であったり、そもそもの商品能力などの「付加価値」であったりするが、これを総括して「コンテンツ力」と呼ぶことにしている。

本について言えば、作者(著者)であったり雑誌名であったりが上の「ブランド力」にあたり、内容が面白いか・付録が豪華などが「付加価値」にあたると言える。前者は、仮に駄作であったとしても有名な作者「村上◯樹」などが書いた作品であれば一定数は売れてしまうし、「少年ジャンプ」も同様に一定数の売上はあがるといったような事が例に挙がる。後者に関しては、例えば読み切りの作品が面白いとか、単純に内容が面白いとかが例になるだろう。

※一応補足しておくが筆者は特段「村上◯樹」氏は嫌いではない。ただの例なのでご容赦願いたい。

このコンテンツ力こそが市場価値を根拠づけているのだが、実際このようなマクロ的視点は企業経営、特に日本のような特殊な書籍販売体制を採っている場合は、の役に立たないと言えるだろう。私はDVDの販売に携わっていたことがあるが、商品が売れるかどうかは個々の店舗の展開次第であることをよく知っている。

例を挙げて説明する。例えば「書籍X」という「内容はそこそこ面白いのに、無名作家であり売れるかどうかで言えば売れない」書籍があるとする。書籍Xは通常「売れない商品」であるため、入荷自体もしくは初版自体が少ない。だが、小売店の判断で入荷を通常より多く取り、例えばおすすめコーナーに展開したり・内容紹介のポップを貼り出すなどすると売上は伸びるし、その効果は他の書籍に比べて相対的に高いものとなる。

これが具体的に最近発生した事案として「NEWGAME!」があると言える。NEWGAMEは当初そこまで有名ではなかったが、内容自体は取っ付き易く、キャラクターも可愛らしい(売上の)伸びしろがある作品であった。これに火をつけたのは紛れも無くPOP広告であり、それが(コラ画像など)ツイッターなどで拡散され、大量重版となった。

纏めると、売れるかどうかは単純に数字では測れないのである。出版取次会社では各書店のポスデータを集計して、それを配本の資料として扱っているが、実際問題として、中身を読んでいないのに売れるか売れないかを判断するのは時期尚早である。上記のように店側の工夫次第で売れる商品というのはいくらでもあるし、とくに書籍など内部データ量の多い商品は展開を適切にしなければ売上をあげられない商品である。これが今「インターネット」に株を奪われて「若者の書籍離れ」とかいう甘えた言葉を並べている出版業界の現実である。より、ミクロ的視点で書籍の販売を見ていかなければ本当に出版業界は終焉を迎えるであろう。

ただし、昨今のように本が大量に流通するなかで、すべての本を「面白い」「面白くない」と切り分けるのは至難の業で、とてもじゃないが時間は足りないだろう。そういった意味では取次が行っているデータによる配本は正しいといえるのかもしれない。と補足しておく。