【若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす】要約
まぁ前期のゼミの復習も兼ねて他人の課題をやったので晒す。
若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす (中公新書ラクレ)
- 作者: 濱口桂一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: 新書
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(課題やったげたのはいいんだけど、それを評価する人に僕も含まれてんだよなぁ…。)
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本書では欧米と日本の雇用形態の違いについて触れながら、日本型雇用の問題点について指摘している。
欧米型、日本型の雇用形態の特徴は以下のとおりである。
◆欧米型(ジョブ型)
・仕事をベースとし、「仕事」に人を貼り付ける。即ち、「職務給」制を用いている。
・そのため「スキルの乏しい若者」が職に困るという自体が発生する。
・職務毎に従業員が働く場所や時間などは決まっている。
・欠員補充形式での採用が主であり、スキルを持つ者から採用されていく。
・企業外育成が主であり、定期異動による育成は一部を除きほぼない。
◆日本型(メンバーシップ型)
・人をベースとし、「人」に仕事を割り振る。即ち、「職能資格給」制を用いている。
・そのため欧米型とは異なり、「若者の雇用問題」はほとんど存在しなかった。
・職務範囲が曖昧で、自分の立場や役職などに関係なく仕事をする。
・新卒採用が主で、後述するが企業内教育が主であるため「地頭の良さ」などといった潜在能力を持つ者から採用される。
・OJTと定期異動による企業内教育が基本で、企業外での訓練は重視されない。
メンバーシップ雇用が日本国内で拡大したのは60~70年代であるが、拡大した背景の一つとして、60年代に急速に進んだ新規中卒者の激減(=高校進学率の急増)が、学歴と職務給の対応関係を崩壊させ、新規高卒者のブルーカラー職への採用が増大したことが挙げられる。従来は、中卒者が就いていたブルーカラー職に高卒者が就かざるを得ない状況が発生し、其れに対する不満などを解消するために、企業側が職務の区分を曖昧にし、ホワイト・ブルーカラー間での柔軟な異動を可能にする人事管理システムを構築・導入する必要があったためだ。
企業はOJTで社員を教育するため、学校内教育は採用の際には重視されない。その結果が、「偏差値」に代表されるような学校教育と社会を貫く一元的能力主義です。この一元的能力主義により、「底辺校(=偏差値の低い学校)」などといった「社会的に通う意味のない大学(高校)」というものが生まれてしまった。
90年代以降、「社員」の範囲が縮小していき、それまで採用段階では決定的な重要性を持たなかった「人間力(先述した「潜在能力」のこと)」が採用において決定力を持ち始めた。そのため「人間力」を身につけるための教育がキャリア教育として高校・大学などで行われるようになった。しかし、短期的な「就活」において「人間力」というものはあまり計る(測る)ことができず、結果として「コミュ力」や「積極性」といった「超」曖昧な基準で採用が行われているが実情である。
「スキルが無くても(無い故に)採用される」日本型雇用は徐々に空洞化していき、そこから排除された若者は非正規雇用やフリーターとなった。これに対処するためにジョブ型雇用制度が国内に取り入れられたが、社会全体としてはメンバーシップ型雇用が主流であったために、効果として限定的なものとなり、度々「メンバーシップ雇用」から仕分けされる若者がいるという現状である。それゆえ、欧米のジョブ型労働者よりも低水準・低劣な処遇に追いやられてしまうという労働市場の二極化が進んでいった。
労働市場の二極化による労働市場に滞留している若者、メンバーシップ型の無限定性(曖昧さ)、ジョブ型雇用で組まれた法律などにより、これらを逆手に取った「ブラック企業」が生まれた。「働き方だけを見たらブラックだが、長期的に見たらブラックではない」「古きよき日本企業」から「長期的な保障すらない」「義務だけ正社員」の誕生であった。
以上のような若者雇用に対する対応策としては(現在職にあぶれている若者に対して)「職業訓練」をさせ「何らかのスキル」を身につけさせることで「採用されやすく」するという以外に上手い方法はない。そのために、ドイツのデュアルシステムといったまだ国内ではあまり浸透していないシステムを政府が推し進めていく必要がある。
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