waniwaniの雑記帳

自作PC/就活論/労働問題/大学生活/社会問題 などについて書きます

「枕就活」に見る「就社志向」

東京五輪もあと5年に迫り、いよいよ好況感が増してきた日本経済。前年度までとは様変わりした、16卒の就活状況はどうだろうか。

もう既に内定(内々定)を出した企業もかなりの数である。一説によれば全体の20~30%に及ぶらしい。これから倫理憲章を遵守する企業の内定「戦争」が始まっていくのだが、色々と気になって調べていた。

「枕就活」についてだ。

「枕就活」という言葉は私の造語だが、大体の読者は既に察しているだろう。人事やリクルーター、OBOGなどと性的取引をして選考を有利に進める行為のことを私はこう呼ぶことにした。これが正しいことなのかどうかは分からない。少なくとも、企業側の人間からすればかなり「リスキー」な行為であることは間違いない。

私自身は特段『「枕就活」をするな』とは言わないし、逆に『「枕就活」をしろ』とも思わない。枕就活ができる人間なんて限られているからだ。

そもそも、企業社会において枕就活が通じる相手は99%男しかあり得ない。女性社会人が性に飢えているかどうかだが、それはなさそうだ。なぜなら、社会においてまだまだ女性の社会人というのは貴重であるし、「しよう」と思えばいくらでも出来る環境にあるからだ。それなのにこんなにもリスキーな枕就活をする(させる)というのは現実問題として考えにくい。

では、男性社会人はどうだろうか。

君のいる町』という漫画があるのだが、その第25巻には「就活枕」の描写が一部存在する。物語の中では実際に「枕就活」をする(させる)わけではないが、人事らしき人物がカラオケボックスで女性キャラ(就活生の設定)に就活の悩み相談という形で面談をし、「頑張らないといけないねぇ…」と言いながらブラウスに手を突っ込む描写がある。(後の詳細については原作で御覧ください)

こういった行為が日常的にではないにしろ、一部企業で行われているのだろうか?私は「実際にある」と考えている。

実際、事件として

探偵ファイル〜速報・ニュースウォッチ〜/女子学生がJRの社員に枕営業で就職成功?mixiで自慢/高橋

「大手マスコミ」の人事部長が就活女子学生をホテルに連れ込んでいた! | スクープ速報 - 週刊文春WEB

こういった社名を名指ししての記事も存在している。私はこれらが氷山の一角に過ぎないと考えているのだ。

先述したように、枕就活をすることが悪いとは感じない。それで内定が取れて働けるならば学生側も嬉しいし、実際にそれを促した社員についても性的興奮を得られ、WIN-WINの関係であるからだ。また、詳細も含めた事実が公に出ない限り、また双方の合意の前提であるならば、これはあくまで「恋愛」であることには変わらず、そこに他人が口出しできることではないからだ。

そういった行為を促された学生はどうだろう。実際、問題になったケースも上記の通り存在している。どういった気持ちになるのかは分からないが、少なくとも「進んで(枕就活を)したい」とは思わないと推察する。だが、それを突っぱねれば自身の内定が遠ざかる、自身の人生が壊れる、と思ったら、枕就活をせざるを得ないのではないだろうか。実際同じ立場になって考えれば、周りからの期待に答えたい、人生を壊したくない、そう考えれば考えるほど「枕就活」があたかも正当であるように思えてくるのである。

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なぜこういった記事を書いたのかと言うと、これこそが日本の就活が「就社」活動であることの一つの裏付けであるからだ。(就社活動が何かについては該当の記事を当ブログから参照していただきたい)

学生全体がそうであるかは別として、こういった枕就活をしている学生においては確実に「その企業」に入りたいから「枕就活」をするのは間違いない。

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2016年3月4日追記

一意見として本記事を書いたものの、後から見るとやっぱり「枕」というのは「誘うほうが悪い」とは思う。そもそも、枕を促す方が悪いというのは客観的事実としてあることが前提で書いたつもりでいる。ただ、枕をする就活生は、どういった理由があっても「枕で内定を得た」という事実は残すべきではないのである。

なんのために働くのか、少なくとも内定を得るために就活をしているのではないと思う。好きな仕事をするためとか、色んな理由があると思うが、内定を得るために就活をするというのは間違っている。内定するというのは片方で目的であるが、片方で「働く」というための手段なのである。働き出したときのことを常に念頭に置いて、就活に励んで欲しい。