waniwaniの雑記帳

自作PC/就活論/労働問題/大学生活/社会問題 などについて書きます

代行レポートで単位を取得したら偽計業務妨害罪なのか

最近の有名な偽計業務妨害罪として、大学入試問題ネット投稿事件があります。これは、2011年の京都大学の受験生徒が試験時間中に入試問題をヤフー知恵袋に投稿し、回答を募集したという事件で、捜査当局は「当該受験生が受験した大学が回収した全答案をインターネットの質問サイトの回答と照合する作業を強いられた」として本罪として立件するに至りました。

偽計業務妨害罪(刑法233条後段)とは「虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の業務を妨害する罪」です。偽計とは「人を欺く計略。その手段」のことを指し、要するに「嘘」のことです。本罪における「業務」は、人が社会生活上占める一定の地位に基いて営む活動一般を指し、「業務上過失致死罪」などにおける限定性は本罪においてはありません。「妨害される可能性がある」だけでも本罪の範囲に含まれます。

つまり本罪を要約すると「嘘をついて、人の邪魔をする『恐れ』があったら罪だよ」ということです。

「他人に書いてもらったレポートで単位を取得する」という行為は、「本来自分が書かなければならないレポートを他人に代行させ、担当教員を欺き単位を習得する」と言い換えることができます。この時の「担当教員を欺く」が偽計にあたる可能性があり、また「教員が単位を認定する」という業務を妨害したと捉えられる可能性があります。

このとき「単位を認定する」という行為が存在しなかった時、つまり不正行為を行わずにレポートが提出されていた場合でも、変わらず同様の業務(採点業務など)を行っていただろうという推定が行われるが、本罪の成立には必ずしも現実に業務活動が阻害された結果が発生したことは要しないため、抽象的危険犯だとして解釈されると考えられる。

なんにせよ、大学としてはたった一人の学生のために立件するとは思えない。一般的に学校法人というのは揉め事を大きくしたくないというような傾向があるため、本件であれば学生の単位を剥奪する、除籍処分にするなどの処置で留めると思われる。ただこれに対して学生が不適当であると告訴した場合は学校ごとの「学則」などで定めている規定に基いて判断されることと思われる。

また代行した側は「幇助」の罪として立件される可能性があるため、注意が必要である。