waniwaniの雑記帳

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「~しないと、(不正行為を)チクっちゃうぞ」は脅迫罪なのか

 刑法222条1項の脅迫罪の「脅迫」とは、一般人が畏怖するに足る程度の害悪の告知を言う。タイトルの場合「不正行為を報告する」という告知が一般人にとって畏怖の対象になり得るかという問題になる。

「不正行為を報告する」というのはそれを別件で考えると当然適法な行為であるが、それによって不利益を被るため畏怖を覚えさせるというのは可能であるため、脅迫にあたる場合がある。

また「~しないと」の部分が「社会通念上の相当性を欠く行為」である場合、例えば「金銭を要求する」「恋人になれ」などの極端に本人の自由を奪う場合や「ヤの付く人に言う」など、はやはり「脅迫」にあたり、違法であるとの推定が働く場合がある。

しかし、タイトルの場合は「示談交渉のための引き合いに出す意思で、そのために告知したといえる」ため、刑法35条の「正当行為」として違法ではないと認められることがあります。

また「真実の追求が目的ではなく、単に畏怖させる目的であれば脅迫罪は成立する(大判大正3年12月1日刑録20輯2303頁)」という判例があります。「~しないと、報告するぞ!」の「報告するぞ!」の部分が真意(本当にする気がある)なのか、それとも真意ではないのかでも脅迫罪が成立するかどうかの判断になり得ます。

示談というのは金銭的な取引だけではありません。裁判手続によらず、当事者間で話し合いでどうするかを決定することで、つまり簡単に言えば「和解」のことです。「~しないと」の部分が和解を目的としている場合、例えば「強姦されたが、訴えるほどのことはしたくないから50万払え」など、は和解を目的としており「脅迫行為」とは言えません。

つまり「示談を目的とした一般的な行為を望んだが相手が拒否した場合、適当な行為を相手に対して執行する」と通知する事は正当行為として認められ、脅迫罪の成立にはなり得ないと思われます。