waniwaniの雑記帳

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KADOKAWA再編と書籍業界(その1)

KADOKAWAさんがAmazonさんに日販さんを介さずに直接書籍を卸す方針で固まったということで記事に。とその前に、今回の角川書店再編とAmazonとの直接取引について話すために、まずは書籍業界の構造について勉強しましょう。

 
 
俗に業界3社と呼ばれている
「出版社」…集英社講談社角川書店
「取次会社」…日本出版販売、トーハン
「書店」…ジュンク堂紀伊国屋書店など
で書籍業界は構成されています。
 
簡単に言えば
出版社は本を作る仕事
取次会社は本を書店に卸す仕事
書店は本を売る仕事
をしています。
 
重要な書籍の特徴として「書店は書籍を返品できる」という特徴があります。
 
普通、商品というのは消費者から店舗への返品は可能ですが、商品に欠陥があるなどの場合を除き基本的には店舗からメーカーに返品はできないルールです。
ですが書籍はそのルールから逸脱しており、書店からメーカー、つまり出版社への返品(業界用語で返本と呼びます)が可能となっているのです。
 
どうしてこういった特別ルールがあるのでしょうか。それは再販売価格維持制度というルールがあるからです。
 
この「再販売価格維持制度」というのは、商品の価格を値引きして販売してはいけませんよというルールです。
なぜこんなルールがあるのかと言うと…。
例えばこの制度が無ければ書店によっては、売れ残りの本が激安価格で販売されたり、大量に発注を掛ける大型書店ばかりがコストカットが可能になり儲かる構造になってしまいます。
そうなると、本の持つ価値が壊れてしまう。即ち本や文章の文化的価値が損なわれてしまいます。つまり、売れるものが文化の中心となってしまうため、文化の保護のためにこういった制度を設けているのです。
 
この制度があるおかげで日本全国どこでも同じ価格で同じ本を買うことができるのです。
この再販売制度を守らせるために、売れない、売れ残った書籍は出版社に返本するのが可能となっているのです。
 
この返本制度が存在するため、出版社は全国無数にある書店との直接取引が実質的に不可能となり、仲介として取次会社を立て、一括で取次会社と取引を行うことで流通のスムーズ化を図っているのです。
 
大体の書籍業界の構造はお分かりいただけたでしょうか?
次の記事では、今回話題の角川再編とAmazon直接取引について書きたいと思います。