waniwaniの雑記帳

自作PC/就活論/労働問題/大学生活/社会問題 などについて書きます

【就活】「就活生」という名のピエロ

2015年3月1日。いよいよ2016年度新卒採用情報が明るみになった。本格的な「就活」のスタートである。しかし、これが本当のスタートだったのだろうか。

大学受験でも、就活でも同じことだが、周りよりも一歩先を歩く目的で早めに何かに取り組む人がいる。事、就活に関して言えば「インターンシップ」などがそれにあたるであろう。だがこのインターンシップ、本当に学生のためになっているのだろうか。

実際に私がインターンシップに行った経験や、友人や知り合いからの体験談を踏まえると、この夏(2014年夏)と冬のインターンシップに関しては「就労体験」というインターンシップ本来の目的よりも、「採用活動」としての側面が強かったように感じる。

インターンシップの日程は「ワンデー(1日)」「短期(2~3日間)」「中期(4~5日間)」「長期(1週間以上)」に大きく分類できる。この中の「長期」の日程を開催している企業がどれほどあるかを調べると、ほんの少し、しかも受け入れ人数も極々僅かである。一方で、「ワンデー」「短期」を見るとその数は膨大で、特に「冬期インターンシップ」に関して言えば90%以上が「短期」以下の日程だったと言える。「中期」に関しては夏期インターンに多く見られ、例年よりも少し多目に開催された。

短期型のインターンシップで一体どんなスキルが身につくのだろうか。正直なところ、短期型インターンシップでは何にも身につかない。この短期型の多さが表すのは、インターンシップ及びセミナーという形での実質的な「説明会」の横行であると私は断言する。つまり、公表されている「3月からの就活解禁」ではなく、「12月から(下手をすれば8月から)の実質的な就活解禁」となっているのである。

企業は「優秀な学生にいち早く自社について理解を深めて欲しい」、「どうにかして繋がりを持ちたい」と考えている。学生は「就活延期に伴って早めにライバルと差をつけたい」と考えている。このような不毛な考えによって、今年のような歪んだ就活期間が出来上がってしまったのである。

正直言って、今回の就活延期によるメリットは何も無かったと言える。採用活動全体においては「水面下の採用活動」が増加し本当の意味での「高度な情報戦」が敷かれることで学生が混乱し、採用活動でも体力のない中小企業の多くが大企業に負けることに。理系学生も面接時期に学会発表などがあるため、唯でさえ忙しいのにも関わらずより一層勉学に支障をきたすこととなった。

勉強をしていない私が言えることでは無いが、大学は勉強をするところであって、就職活動をするところではない。少なくとも「今」はそうだ。研究機関として優秀な技術者の排出、文系で言えば「広い教養(この広いという言葉が胡散臭いのは承知しているが)を身につけた知識人の排出」を大きな指針としているのにも関わらず、大学に入ってみれば、知識を深めていく3,4年次において「就活」に犯され続けているのである。しかも、教授らに「就活」への理解があるならまだマシといえるが、まだまだ多くの教授は「就活」への理解が足りない。就活で休むのを認めない教授が多すぎるのである。

優秀な学生とは一体なんなのだろうか。何のために大学に来たのだろうか。勉強とは一体何なのだろうか。「就活予備校」と化す日本の大学教育はどうなってしまうのか。私にはわからない。