waniwaniの雑記帳

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TPPについて

TPPの論述試験が終わったので、TPPについての論述を晒す。概ね間違っていないと思う。まさかあり得ないとは思うが、萩原教授がこのブログをご覧になっているなら、コメントを頂きたいと思う。

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TPPはどのような事情で生み出されたのか

アジア通貨危機による金融危機に対し日本は「アジア通貨基金」構想という通貨危機からの脱出策を米国に提示した。しかし米国はこれを元にして米ドルに変わるアジア共通通貨が生み出されることを恐れ反対し、成立には至らなかった。

しかし、アジア諸国は基金構想の創設プランを諦めず、00年のアセアン+3において「チェンマイ・イニシャティブ」という、東アジア諸国同士が危機時に互いの通貨を交換しあって協力する、通貨協力体制を実現した。

こうした東アジア諸国同士の「通貨協力体制」に対しシンガポールニュージーランドが呼応し経済連携協定EPA)を結び、そこにチリ・ブルネイが加わって、06年にP4協定という地域的自由貿易協定が成立した。

P4協定には当初「投資と金融の自由化協定」は存在していなかったが、「08年から締結国同士が投資と金融サービスに関しての交渉を始める」という規定があった。これに合わせて米国ブッシュ政権は「TPPの投資とサービス(金融)の交渉作業部会」に参加を打ち出し、P4協定への参加、即ちTPPへの移行(TPPの成立)に至った。

 

TPPとはどんな協定なのか

TPPの大きなルール(特徴)として「高いレベルのアジア太平洋における貿易の自由化」と「国際通商ルールの統一化」がある。前者については、例外のない関税の撤廃を原則とし、貿易商品の全品目について、関税の即時もしくは段階的な撤廃をしていくこと。後者については、金融システムや知的財産の保護、海外企業の参入など、国ごとに異なるビジネスルールの統一をすることで、参加国の企業同士の企業活動を促進することを目指している。またTPPの交渉分野については24分野あるが、それぞれについての詳細な説明は省く。

本来は95年に設立されたWTOの下で世界的自由貿易を進める交渉が行われていたが、実際問題として目立った動きがなく、数か国間のみでFTAなどの貿易協定、EPAなどの経済協定が結ばれることが多かった。そのためTPPはこういった動きの一環として、数カ国間のみならずより広い地域を対象にしている。また、FTAEPAなどであった「一部の分野・品目を協定の対象から除外する」といった部分的な自由化とは異なり、TPPでは参加国それぞれの国における重要度が高い分野・品目でも対象内とする、包括的な自由化を目指す形となっている。

 

TPPへの参加によって日本経済はどうなるのか

一言で「ルールが米国基準になる」といえる。これは今までの構造改革に「年次改革要望書」という形で米国が関与してきたことからも分かる通り、TPP参加となればより直接的に実行されると考えられる。

金融分野ではルールが米国基準になることが予想され、大企業優遇税制によるM&Aがより進み、株主利益を再優先にした経営が進むと予想される。労働政策に関してもより規制緩和が進み生産性の低い正社員のリストラや非正規雇用が進むことが考えられる。また海外の安価な商品が流入することにより、今まで関税で守られてきた国内メーカーも価格を下げざるを得ず、価格競争が激化し、先述した人件費カットを含めると、デフレスパイラルを加速させる可能性がある。医療分野でも「国民皆保険制度」といった公的医療制度がTPPによって自由化され廃止となり、医療面での格差が広がると考えられる。農業・漁業分野でも海外の安い農産物・海産物が流入するため、個人農家・漁師の廃業が進むと予想される。またこれにより一般企業も農地を取得できるといった農地法の改正などが行われ、農業経営・漁業経営の大規模化・集約化が進むと考えられる。

纏めると、TPP参加は橋本・小泉に続く「第三の構造改革」となるといえ、その改革の多くが米国有利に働くと予想される。

一方で、工業分野においては関税撤廃により海外で人気の高い日本車など工業製品の輸出に期待ができる他、サービス・投資の自由化や、知的財産、基準認証、関税手続きの円滑化など幅広い分野でのルール整備を目指しており、高度な技術を持つ国内中小企業などは、新市場の開拓が容易になり、海外との交流が活発化することで、新たなイノベーションが生み出されるなど、数値では測れない効果も期待されている。